12月に入ってやっと冬らしい寒さになりましたね。ついこの間まで半袖ジャージとビブショーツで走っていたような気もしますが、秋を楽しむ間もなく、いきなり冬がやってきた感があります。慌てて冬支度をされている方も多いのではないでしょうか。
そんな訳で今回はウィンタージャケットを取り上げてみたいと思います。2024シーズンはウィンタージャケットのラインナップが総入れ替え。その中でも代表的な2つのモデルをご紹介いたします。
MILLE GT WINTER JACKET "HASHOOGI" WINTER JACKET S11
コードネーム:ハッシュギー
エンデュランスシリーズ:サイクリング、ロングライド向き
EQUIPE R "HABU" WINTER JACKET S11 black
コードネーム:ハブ
レースシリーズ:トレーニング向き
正式名称は長ったらしいので、ここから先は略称としてコードネームを使わせていただきます。エンデュランス系の ハッシュギー に対して、レース系の ハブ というラインナップ。2024ウィンターシーズンの二枚看板です。
まず、この両者に共通して言えることが、従来のウィンタージャケットの概念を覆すほどの “柔らかさ” 。実際に手に持ってみると、「ウィンタージャケットってこんなにフニャフニャで良かったんだっけ?」というのが率直な感想です。
柔らかい着心地の秘密が、アソス独自のソフトシェルにあります。ジグザグ模様が印象的なメインファブリックを見て、「この素材、前からあるよね」と思いきや、今シーズンから改良版が登場しました。先代の素材よりも更に伸縮性が良いんです!
直立時には胸の前が突っ張るがありますが、乗車姿勢ではストレスフリー。また、一度着てしまうとジャケットの重さはほとんど感じません。エアロなシルエットをキープしつつ、嫌なストレスを分散してくれるのが分かります。
実際の製品重量はどうでしょう。ハッシュギーとハブの重さを計り比べて見ました。ある程度同じような化繊を使っているので、重たい方が生地のボリュームがあると置き換えることができます。何かというと、「重たい方が保温性が高い」という推察は概ね間違っていないでしょう。ダウンとかは別ですよ。
製品重量は以下の通り。タグの重さ = 10g を差し引くと、どちらも Sサイズで 400g を下回る結果となりました。
ハッシュギー:391g
ハブ:399g
冬用のガーメントとしてはかなり軽量な部類。ひと昔前のウィンタージャケットがやたら重たく感じてしまいます。それよりも、ハッシュギーとハブの重さがそれほど変わらないというのは意外でした。この結果から両者の保温性は同等と推察できます。
しかし、本当にそうでしょうか?
改めて、ハッシュギーとハブを比べてみると、メインファブリックは同じ、重さも同じ、デザインも似たり寄ったり。
では何が違うのか? ということですが、結論から言ってしまうと、暖かさの “質” が違うということ。内側に使われている素材を比べてみると、両者のキャラクターの違いが見えてきます。
まずはハッシュギーの方から見てみましょう。ソフトシェル素材の裏面は、高密度の起毛素材がびっしり。正面から肩甲骨まで大きく回り込んでいるのが分かります。
毛足はそれほど長くなく、コールテンのように気持ちの良い肌触りです。
バックポケットの内側はRXフリースが使われており、前後ともに体温を溜め込みやすい素材で構成されています。唯一、背面のセンターパネルをメッシュ素材にすることで、通気性を確保し、余計な熱気や汗蒸れが籠るのを防ぎます。正面は防風性を強化し、背中側から排熱するという、これぞウィンタージャケットのお手本と言える作りです。
続いてハブの裏側も見てみましょう。パッと見は白黒の一松模様のようですが、よく見ると微かに凹凸のあるワッフル状になっております。ガーゼのようにスカスカした感じです。
この素材、吸水速乾性に優れ、通気性が非常に高いのが特徴です。手で触った感じもサラサラ感があります。
背中のセンターパネルには、夏のジャージにも使われているメッシュ素材を配し、このメッシュがバックポケットの下まで続いています。背面から汗や熱気を素早く排出してくれるので、どちらかと言えば、ハードライディング時にオーバーヒートを防ぐ方向に振った作りになっています。汗冷えも起こしにくいと言えます。
ここまでご覧いただければもうお分かりですね。内側に使われている素材の違いが分かると、両者のキャラクターがはっきりと見えてきます。一括りにウィンタージャケットと言っても、走りのスタイルによって求められる機能が違うという訳。
一定の強度で淡々と走る場合や、寒がりの方へは、ハッシュギー をお勧めします。逆に、高強度でガシガシ踏む場合や、暑がりで、汗っかきの方へは、ハブ がお勧めです。簡単ではございますが、ジャケット選びの参考にしていただければ幸いです。
ジャケットのラインナップは こちら をご覧ください。皆様のご利用を心よりお待ちしております。